"ここ"で見つけよう
1年ぶりに、元太くんが少年倶楽部のステージに戻ってきました。
正直、もう戻ってこれないかもしれないと、冗談じゃなく思っていた場所に。
忘れられる事が一番の怖さだった。
「さよなら」も「おかえり」もない場所から、私の大好きなひとがずっといなくなってしまうんじゃないかというのが、怖くてたまらなかったこの1年。
そして、1年ぶりに戻ってきた元太くんは、Travis Japanだった。
Travis Japanの一員として、Travis Japanの衣装を着て、Travis Japanのオリジナル曲を歌って踊っていた。
濃いスモークが焚かれるステージ、はっきりしないシルエット。
1人、3人、5人、そして7人。
誰にも何も言われることなく、元太くんはTravis Japanとして光の向こう側から姿を現して、精悍な姿でスッと前を見据え、まるで何事もなかったかのように、ぴたりと寸分の狂いのないダンスパフォーマンスを披露して。
曲が始まる前も、終わってからも、誰も何も教えてくれない。
画面に一人ずつ映し出された7人の顔だけが、私たちにTravis Japanを教えてくれた。
始まったことを、言葉ではなく、パフォーマンスと気迫で教えてくれた。
鳥肌が立って、嬉しくて、それでいてものすごく違和感があった。
何十回見たって拭えない違和感がしっかりと胸に焼きついた。
ずっとずっと、場所がなかった、無所だった。
あるように見えていた場所も、ずっとふたりぼっちだった。
終わりが決まった3人のステージ。
言葉を選ばなければ、きっと多くの人が終わる事を待ち望んでいた場所だった。
絶対になかったことにはならないけど、誰かにとってとても苦しかった1年半、それが元太くんのやっと叶った夢だったこともあった。
絶対にここではないと確信しながらも、6人のうちの1人としてマイクを持ってステージに立たなければならなかった場所もあった。
そうして、不確かな場所がひとつ、またひとつと終わっていく度、ふたりぼっちからひとりぼっちになってしまうこともあった。
名前がないまま、名前がある人たちと肩を並べなくてはいけないこともあった。
ふわふわと、ここだなと思っていた場所も気付いたらそこにいることが難しくなったりもした。
そうして、ずっとずっと転々と、いろんな場所で元太くんは強くなった。
ひとりでも、そこがどこだって、自分の身一本で戦っていた。
ひとりで戦っていた間に、ずっと一緒だった仲間がいなくなってしまったこともあった。
ひとりで、ふたりで、少し遠い場所で戦っている間、元いた世界がまったく知らないものに変わりすぎて、気付いたら戻る場所がなくなってしまったんじゃないかと思うこともたくさんあった。
5人が7人になったこと、それはどうやったって誰にとっても受け入れるしか選択肢はなかった。
誰かにとっては嬉しくて、誰かにとっては苦しくて。
だからきっといろんな人が沢山の想いをしまいこんで、気遣いや優しさで上書きをして。
私は自分勝手で捻くれているから、この1年、みんなが持っている箱に憧れていたわけじゃなく、今のこの世界で生きていくために、元太くんが戦える"権利"が欲しかった。
やっと手に入ったチャンス、それは1年前は全く想像もしていなかった未来だった。
5人のこと、ましてや9人のことを私は何も知らない。
長い時間をかけて作り上げてきたもの、いろんな思い出も何も知らない。
だから2人のこともきっと何も知られていなくて当然だと思う。
お互いに何にも知らないから、今はどんな言葉もどんな想いも、正解だし不正解だと思う。
「気づいたら7人になっていた」
なんてことは絶対に絶対にないという事が全員一人残らず痛いほどわかっているのに、彼らは過去と別れを告げると歌う。
5人に過去と別れを告げる必要はないと思うし、明日はない覚悟をする必要も一切ない。
それと同じように、2人に5人の過去を知る必要はないと思うし、今日を生きればいいと思う。
もう怖いものなんてない、大丈夫。
今はまだ、5人と2人でいい。
7人に違和感を存分に感じていたい。
この気持ちを、この時間をなかった事にして強がる必要はないと思う。
綺麗な言葉で守ってあげることと一緒に、全てをしまい込まなくてもいいと思う。
いつだってふたりぼっちだった。
やっとやっと、少しだけ確かな場所が出来た。
それが、ここ、なんだと思う。
まだぼんやりでいい。
"ここ"で見つけよう輝く未来
そう7人が歌う限り、ここを、新生Travis Japanを、誰よりも贔屓にしたい。
いつか元太くんにとって、はっきりなんの迷いもなく、大切な"ここ"になりますように。